買い物帰り、公園で。杖をついたおばあさんが歩いている。ふと立ち止まって、ゆっくりとその曲がった腰を起こしたと思ったら、おばあさんはじっと空を見上げていた。
真っ青な空の下に、淡く色付いたメタセコイアが揺れている。
自分もいつかはいなくなるのだということが、十代よりも二十代よりもはっきりとした輪郭を描いて、思う。美しいとは、こういうことをいうのかもしれない。
提げた袋に感じる、牛乳と根菜の重み。くたびれたビルケンシュトックと記念日に貰った腕時計。先日観た映画で、彼女は情熱と悲しみを生きた。マイケル・ナイマンのピアノの音が、いつまでも耳で掠れる。
この秋は、どうしようもなく。