始発列車。家出みたいなリュックサックを抱えて、ぼんやりとイヤホンからの音楽を聴いていた。
短いスカートの女の子たち、アルコールの缶を持ったまま眠るサラリーマン…休日の早朝はまだ夜の名残り。
駅まで辿り着くと町は嘘みたいな霧の中。学生の頃みたいに、無駄にGR-1のシャッターを切りながら帰った。
コゲラの鳴く声とどんどん色付くモミジバフウ
昇り始めた太陽は濃霧と混じり合って、淡い紫色の光をつくる。
薄手のコートと真っ白な息。身震いを二回。
家に帰り着いて、熱いシャワーを浴びてから冷たい布団に潜り込んだら、意味がわからないけれど、涙が滲んだ。
寂しい。
だけど。寂しくない人なんていない。