父が生前にせっせと集めたあらゆるスクラップブックの中から、海外の裸婦ばかりの切手を集めた一冊が見つかった。
こんなにも身近にサブカルチャーのような人がいたのだなぁ…と、なんと言ったらよいのかわからない心持ちになった。
もし父と家族ではなくて友達として出会えていたら…
そう意味のない事をぼんやりと思い、スクラップブックを自分の本棚に並べ替える。
父の本棚の面白さはわたしが年齢を重ねる毎に深みを増していく。
何冊もの切手のスクラップブック、海外旅行で集めた切符や街の地図でパンパンになったバインダー、アメリカの古い百科事典、著名な小説家たちの大全集、岩波講座『文学』全巻…
どれももう色褪せて埃っぽいものばかりだけれど、自分の本棚に父の本が増えていく度に、わたしには父の血が流れているのだと、確かにそう思う。
えーっと…もう本棚の空きが見当たらない。