「なあ、見て」
男の子が紙にペンで字を書いていくところを、わたしに見ていてくれと言う。
じっと見ていると、ペンは進んでいるのに何も字が書けていないから、インクが出ていないのかと思った。
そうしたら、その子はにっと笑って、ペンライトのようになったキャップを光らせて字に近づけた。
光に照らされて、字が浮かび上がっていく。
おお、と思った。
「すごなーッ」って言うと、ちょっと照れくさそうに笑ってる。
光のあたった字をよく見てみると、そこには“花”って書かれてあって、それで、わたしもちょっと照れくさくなって笑った。


ほんのささやかなわたしの視線、どうかこの子達の大きな未来に繋がりますように。