寝室にテレビを持って来て、金曜ロードショーのぽんぽこを観ていたら、ふたり共うたた寝をしてしまっていた(ベッドではなく、畳の上で…)。午前2時に目が覚めて、慌ててお化粧を落とし、お風呂へ。畳の上で寝てしまうと、ヤングではない身体に悲鳴が走ります…。
土曜日もシゲルさんは仕事へ。
けれど。普段ぼやぼやと愚痴っていたせいか、日曜日はドライブへ連れて行ってもらえることに。
曇ったり晴れたり、雨が降って来たりする空の下、念願だったカフェで20食限定のマドごはん。
限りなくシンプルな味つけに、野菜達が喜んでいるように思えて、頬張る度にじわじわと舌とお腹とに味が沁みる。お店の雰囲気をも「食べる」ことが出来る、なんて素敵なお店なのか。
リュック・タイマンス、ソフィ・カルと合わせて、本当は東京まで観に行こうと思っていたフランシス・ベーコン展を、やっと豊田市美術館で。シゲルさんは、それはそれは念願。
作品は、とにかく凄かった。観ていて、怖いとか、体調が悪くなるだとか…そういうものではなくて、ただただ気迫にたじろいでしまうというか…一線を越えてしまた世界がそこにはあって、絵を観ているはずなのに、どこまでもベーコンそのものを見ているような心持ちとなる。
文明の流れだとか、社会批判とかではなくて、彼は愛だとか憎悪だとか…直感だとか…衝動だけに突き動かされて、絵を描いていたのではないのかな…なんて。
作品を覆っている反射率の低いガラス板にも驚きながら、シゲルさんとなんだかくたくたになって美術館を後にした。豊田市美術館は、よいところ。
謎の喫茶店と猫を通過して、ソラマメ食器店へ。こちらもずっと来てみたかったところ。割れてしまった同じ種類のうつわなどを買い足す。
空は白く暮れてきて、ここでもうタイムリミット。三連休で高速道路はそれなりに混雑するし、レンタカーの返却時間もあるので、もう大阪へ帰らなくてはいけない。
途中立ち寄ったサービスエリアで、鳥達も巣へと帰って行くのを眺めながら、シゲルさんと肩を寄せ合って、いそいそと食べる晩ごはん。
幾つものテールランプと真っ暗な車内。
長時間の運転で疲れているであろうシゲルさんに(気にかけると、いつも「大丈夫ー♪」とか言ってくれるのだけれど…)、わたしは懸命に歌をうたう。
『じゃりん子チエ』のチエちゃんが、テツとお母はんと三人で出かけた列車の車内で、大声で歌ってみせた、あの勇気を思い出しながら。
「帰ろう」
「我が家へ、帰ろう」。