シゲルさんと一緒に、父の墓参りへ行く。
いつも。手を合わせながら、お願い事をしてしまうのは何故だろう。
お父さんは、神様でもないんだけれど。。。
別れ際に。マッチーが「この子、全然しっかりしてなくて、いつもふらふらしてばっかりで…だから、ちゃんと見ててあげてね」って、シゲルさんに言った。
そうは言ったけれど、別れ際にどんなふうに気持ちを伝えたらいいのか…マッチーはあまりうまく言葉が出てきていなかったから、シゲルさんにはいまいち伝わっていなくて、シゲルさんはちょっと困ったような顔をして笑った。
だけど。わたしはどっとしたものが込み上げて、どうしたらいいのかわからない気持ちになってしまい、陸橋の上で泣いた。
ひょっとすると。マッチーは、わたし達が籍を入れる時よりも強い想いで、「この子をよろしくね」と言ったのかもしれない。
まだ冬のアイスランドへ旅に出るということに、緊張感を持っているのはわたし達だけではなかったのだ。
わたし達ふたりで旅へ出るけれど、けど、そうではない。
オランダにはわたし達がやって来ることを待ってくれている人達がいる、自分のカレンダーにわたし達のフライトのスケジュールを書き込んでくれた友人がいる、ずっと旅の無事を願ってくれている家族がいる。
大切な人達に想われながら、わたし達は旅に出る。
そして。大切な人達を想いながら、わたし達は旅をするのだ。