「もしもし」が聞こえて、笑い合う。息を切らせている。「今、自転車漕いでて…」。オフの日に、彼は街までロードバイクを走らせる。三週間ぶりの会話。その間にも、何通も行き交う手紙。沢山送られて来た写真。関空で飛行機の中から展望塔を撮ってくれていた写真に泣けてくる。「だけど、これは管制塔だなァ…」と、笑みが出た。おうちの前には、バーニーズ・マウンテン・ドッグ。シルバニアみたいな部屋。黄色の花、ルドベキア。手紙の中に並んだ献立。スクァッシュはカボチャ。スペイン語で人参はサナオリア。様々な国の人達。なんでもない、ささやかな言葉。彼の描くスケッチやドローイングを想像してみる。個展の為にスライドを制作しているけれど、なにをどうつくってもラブレターになる。一ヶ月が過ぎて。