Monday 14 April.














よく晴れているけれど、肌寒い。朝はいつも通りに起きて朝食。毎朝いただいたシリアルは美味しくて、スーパーマーケットへ行った時に買って帰ろうかと思ったけれど、大きくて断念。今日ここを去る事を知ってか知らぬか、ピートはずっと足下にいてくれる。「ありがとう」の気持ちを込めて、みんなに小さなプレゼント。大和屋の和三盆とLUPICIAティーバックを小分けにしてラッピングしたもの。朝食後に、彼がプレゼントを渡すタイミングをつくってくれる。エイムスはすぐに包みを開けて、目の前で「美味しい」と言ってくれた。エイムスはここのお家の息子さんで、17歳か18歳。身長は190センチを優に越えているのだけれど、本当にかわいいティーンエイジャーでした。いつかの夕食の前、学校から帰って来たエイムスが「今、プリズムの勉強をしてるんだ」と言ってた時、もっと話しが聞いてみたくて、わたしも英語が話せればいいのにと思った。家々にプレゼントを配りながら、コミュニティ内を最後の散歩。チコさんはプレゼントを渡すと、「わぁ、なんて日本的な…」と言っていた。アメリカにはこういった習慣はないのだろうか。ホールに立ち寄って、彼が粘土で作ったばらの花を見せてくれる。今度はこれをキャンドルで作ってね、とお願いした。また彼の暮らすお家まで戻ってくると、バージニアがメッセージカードを手渡してくれた。そこには太陽の光みたいに温かいバージニアの絵と、わかりやすい言葉で綴ってくれたメッセージ。「ここに来てくれて、ありがとう。ミナコが来て、シゲルはとてもいい笑顔をしていました」。最後には「hope we meet again.」。また会いたいな。一度車でガソリンスタンドまで出て、英理ちゃんに電話(彼の暮らす所は携帯電話が圏外なので)。驚く事に、東京に住むカメラマンの英理ちゃんとニューヨーク滞在の時期が重なったからです。11時半に彼の暮らすコミュニティを出発。今日はヘザーがPoughkeepsieまで車で送ってくれました。別れ際、ヘザーもバージニアと同じ事を言ってくれた。12時33分、メトロノース・レイルロードは、ゆっくりとマンハッタンへ向けて発車。車内の雰囲気がテレビ番組の「世界の車窓から」みたいに見えてしまう、自分の感受性の乏しき事よ。堅いけれど、革張りのゆったりとしたシートが素敵。ハドソンリバー沿いを本当にのんびりと走っていくから、彼が「川側の座席にすればよかったね」と言った。わたしは「何かお昼ご飯を買っておけばよかったね」と、横の親子連れがお弁当を食べているのを見て言う。海外での長い列車の旅は、なんて言うか…本当に旅情が溢れてくる。切符を切ってくれる車掌さんも、あんまり聞き取れない車内アナウンスも、もちろん窓外の風景にもずっとわくわくして、わたしは窓際にぺったりくっついて外を見ている。彼は横でよく眠っている。車内の人達もみんな眠っていて、本当にのどかなのどかな列車の旅。サニーデイ・サービスの「スロウライダー」だ。わたしは寝ないでおこうと思っていたのに気がついたら眠っていて、目が覚めると外の風景は大都会に変わっていた。何かスタジアムのようなものが見えてきたと思ったら、ヤンキーススタジアムだ。グランド・セントラル・ターミナルに着いたのは14時半過ぎ。ホントに巨大な駅で、わたしはぽかんっとしてしまう。今朝までは静かなアメリカの田舎町で過ごしていたから、そのギャップに暫くついていけなくて戸惑ってしまったけれど、とにかく一生懸命歩く事にした。グランド・セントラルから地下鉄に乗り換えて、宿泊するチェルシーのアパートへと向かう。20ドルで23ドルくらい乗れるというメトロカードを購入。改札はスライド式でスリットにカードを通してゲートをくぐるのだけれど、これがわたしには最後までなかなか上手く出来なくて何度もやり直す事になった。地下鉄は数字ばかりの駅名でよくわからない。駅からアパートまでは少し歩く。地下から地上に上がって見えてきた風景は、なんだかもうテレビの中の世界だ。上手く説明が出来ないけれど、とにかくここはマンハッタンなんだという印象。ビルに切り取られた空と、俊足ですれ違って行く膨大な人達。なんだかみんなが少し怖く見えてしまったのは…わたしがまだ緊張していたせいもあったのかも。アパートは彼にお願いをして、英理ちゃんが滞在している所と同じ所を予約してもらった。本当に立地のいい場所にあって、有名なペン・ステーションからは歩いて10分〜15分くらい。ホテルとは違ってスタッフみたいな人達はいないし、毎朝のベッドメイキングもなく、ここで暮らしている人達もいる生活空間圏。部屋の様子は先にマンハッタンへ来ていた英理ちゃんから聞いていたけれど、わたし達の部屋は英理ちゃんが滞在していた部屋とは造りが違っていて、ロフトのある天井の高い開放的な部屋だった。トイレとシャワールームは共同だったけれど、お部屋には簡単なキッチンとシンクがついていて、ふたりで過ごすのなら問題のないスペース。ただ、なんだか暑くて、全く換気が利かなかったけれど。17時過ぎにまだお昼を食べていなかったから、とにかく何か食べようと外出。すると前から駆けてくる、ちょうどラボから帰って来た英理ちゃんが。それはそれは嘘みたいな光景で、わたしの横に彼と英理ちゃんが並ぶと一瞬にしてここが外国人の多い日本のどこかなんじゃないかと思えてしまう。英理ちゃんに「お腹が空いた」と伝えると、お手頃な日本食の居酒屋に連れて行ってくれた。少しメトロに乗って。メニューの豊富さに驚いたけれど、なんだかかわいらしい器に入った冷や奴は変でした。ここのお店は食後に綿飴のサービスがあって、お店の外で自分でくるくると綿飴を作る事が出来る。英理ちゃんが綿飴を作っている姿をパチパチと写真に撮ったけれど、写真は見事にブレブレ。お喋りしながら、歩いてアパートまで帰る。うん、やっぱりもうここは外国人の多い日本のどこかなのかもしれない。