Tuesday 15 April.















7時起床。部屋からは気候がよくわからないけれど、この日も快晴。朝食は、昨日の夜に英理ちゃんからお裾分けしてもらったKrispy Kremeのドーナツを一つずつ食べました。午前中は地下鉄に乗って、メトロポリタン美術館へ。館内に入ると、巨大な何かに飲み込まれていく感じがする。Diaで観ていたアーティストの作品も幾つかあったけれど、作品は空間でこんなにも見え方が変わってしまうものなのだ…と改めて感じました。彼はわたしの手を引いて、本当に沢山の画家のことを教えてくれる。その話を聞きながら、わたしは彼に何を教えてあげられるかな…と思った。花の名前かな…そんなに知っているわけでもないけれど。ポップアートのブースにJoe Brainardというアーティストの小さなコラージュ作品を見つけて、記録ノートに名前をメモしておいた。たぶん、わたしが今写真に撮りたいと思っているものが、この作品の中に感じられたからだ。後は、大きな大きな作品で、茶とピンクで湿地のような風景が描かれた油画。画家の名前は覚えていないけれど、とても気になった一枚だった。ドガの踊り子の絵の前では、こういう女の子に出会いたいものだなぁ…と、うずうずとする。彼はオキーフの絵の前で暫くソファに腰かけていて、こういう時は声がかけられないなと思う。じっと絵を観ている彼の視線を、そっと盗み見る。こういう時、彼の目になってみたいと、そう思う。わたしはホッパーの「夜明けの灯台」が観たかったけれど見つけられなくて、彼が係の人に訊いてくれたら、ちょうどどこかの美術館へ貸し出し中だった。きちんと観て廻るには一日あっても足りない館内を、一時間半程で駆け抜ける。フロアはどこも人で溢れているけれど、館内では此処彼処で沢山の子供達が絵の前に座ってスケッチをしていたり、学芸員みたいな人の話を聞いていたりする。こういった光景は日本の美術館のスペースではそんなに見かけるものでもないから、なんだかそれがいいなと思う。館内から外へ出ても美術館の前は人で溢れていて、みんな階段の所でお弁当を食べたりしている。わたし達はお昼ご飯に「ベーグルを食べよう」と朝から決めていたので、メトロポリタンから少し歩いてお店を探す事にした。二つか三つストリートを越えて行った所で、ベーグルのお店を見つけたのでパッと入ってみたけれど、ここのベーグルが本当に美味しくて大正解。店員さんもとても親切で、日本のSUBWAYでだって注文に戸惑うわたしなのに、しっかり試食までさせてもらって中にサンドする具材を決めました。ずっしりと重たいベーグルの入った袋を抱えて、またメトロポリタンの方まで戻り、セントラルパークへ。憧れだったセントラルパーク。遂に来た。姫路じゃなくて、ニューヨークに。どこでお昼にしようかと公園内を歩いて行くと、驚く程巨大な木蓮が咲き誇っている芝生があったので、迷わずそこに決定。これは彼が暮らしている街でもそうだったけれど、ニューヨークの街では本当に沢山の木蓮の木を見かけました。芝生に座る前、彼はさっと自分のハンカチをわたしに広げてくれる。彼はターキーとクリームチーズを挟んだセサミのベーグルを、わたしはごろごろとしたチキンをエスニック風なソースで和えたオニオンのベーグルをそれぞれ買って、半分ずつにして食べる。ベーグルが硬くて顎に堪える感じは全然しなくて、どちらも本当に美味しかったけれど、彼のセサミのベーグルがやわらかなターキーとクリームチーズで絶妙な事になっていて、負けた…と思う。半分こしてるのに。気温はきっと25度近くまで上がっていたと思うけれど、それでも、ニューヨークは湿度が低いのかカラッとしていて気持ちがいい。14時半にコロンビア大学のある駅で、英理ちゃんと待ち合わせ。待ち合わせ時間を変更してもらった上に遅刻までしてしまったのに、英理ちゃんは嫌な顔一つせずに、「ここのスープが美味しそうだったから」とカフェで待っていてくれた。それから三人でコロンビア大学の中を抜けて、セント・ジョン・ディバイン大聖堂へ。修復工事中で見られない場所もあったけれど、ステンドグラスからは西日が差してきていてとても綺麗だった。でも、写真は見事にブレブレ。大聖堂内には小さな庭があり外へ出てみると、外観も修復工事で足場が組まれていて、それを庭への通路となっているアーチの所に立って眺めていると、「どいてよ」と言わんばかりにわたし達の後ろで何かが叫んだ。そして、その後に英理ちゃんが絶叫。英理ちゃんのすぐ後ろには孔雀が立っている。その時の模様は、岡本英理ちゃんのブログでどうぞ→http://okamotoeri.exblog.jp/。彼が警備の人に訊いてくれた話によると、この大聖堂には三羽の孔雀が住んでいるそうで、わたし達はその内の二羽を見ました。後一羽は真っ白な孔雀だと聞いて、英理ちゃんは「それはそう言った方が素敵だからだ」と言ってました。うん、英理ちゃんのこういうところが、わたしは好き。なんだか全部を孔雀にもっていかれてしまった大聖堂見学だったけれど、三人で「わーわー」ととても楽しい時間でした。それから地下鉄に乗って、ZABAR'Sというスーパーマーケットへ。ここはニューヨークへ来たら、絶対に行きたいと思っていた所の一つ。一階は食料品売り場で、二階が夢のキッチン雑貨ジャングル。きっと一日はいれるなぁ、と何度も思う。そして、ここでわたしはある決意をしていました。明日には日本へ帰国する英理ちゃんがもうすぐお誕生日なので、こっそりケーキを買ってニューヨークでお祝いしようって。彼にその胸を伝えて、協力してもらう事に。英理ちゃんがレジに並んでいる間に、わたしは「お手洗いに行った」という事にしてもらって、一人でケーキ売り場まで。ショーケースに並ぶケーキはどれもこれも大き過ぎて困ってしまったけれど、一種類だけ色とりどりのプチケーキが並んでいたので、全然話せない英語で柄と色を伝えて注文。バレないように、そっと二階でお買い物をしていた袋に忍ばせてアパートまで帰宅。それから、今日の晩ごはんは、アパートから歩いていけるレストランへみんなで行きました。店内に入ると、ダイナーみたいに物凄いボリュームのプレートがあちこちのテーブルに並んでいて、本当にアメリカンな印象。名物だというスムージーを注文した後、わたしは白身魚のフライをオーダー。魚はCatfishとCodfishの二種類から選べ、Catfishがなまずであった事に驚いて迷わずに鱈を注文したけれど、後々なまずを食べてみてもよかったかも…と思う。凄いボリュームだったので、殆どを持ち帰り。アパートへ戻り、英理ちゃんに「後で部屋に遊びに行くね」と伝えて、急いでバースデーケーキの準備。息を潜めて英理ちゃんの部屋の前まで行って、彼にライターでロウソクに火をつけてもらった。インターホンを押して、「ハーピーバースデー♪」。この時、英理ちゃんはお腹がいっぱいだっただろうな。それでも、火を吹き消して、ちゃんとケーキを食べてくれた。英理ちゃんは明日の早朝には、もうニューアークの空港へ向かう。英理ちゃんの部屋で、長い長いそれでも短い一日が暮れていく。