それは辛く長い一週間でした。
三十九度まで上がったシゲルさんの熱は幾日も下がらず、
家の中が実際よりもしんと温度を下げていってるように思えたのです。
どうしたらよいものかと考えるほど悲しい心持ちは膨らんでいき、
辛くしんどいのはシゲルさんであるとわかっていながらも、
わたしは気丈さを見失いかけていました。
そんな中、わたしが出来る事といえばやはりお台所に立つ事で、
いつもより尚、滲み出る想いで毎日包丁を握りました。
そう。料理をする事で、わたしは少しまっすぐになれるように思うのです。
消化が良く栄養のあるものを作り、ベッドまで運んでいくと、
シゲルさんはしんどいながらも「美味しい」と、
いつもより更に小さくなった声でゆっくりと言ってくれました。
その姿を見つめながら、わたしは気丈夫な女性になりたいと強く思ったのです。