お休みの朝。
シゲルさんはわたしよりも早くに起き、アトリエで制作に取り組んでいました。
自宅の一室にあるアトリエでシゲルさんが制作をしていると、何か少し不思議な緊張感を覚えます。
それはわたしの心持ちなのかもしれませんが、
それでも我が家に満ちている空気がいつもと違っているのを感じるのです。
絵を描くという行為がいつも一人であるという事を、わたしは少なからず知っていたつもりでいました。
けれども、それはただ知っていたつもりであって、
実際にその行為と寄り添って暮らしていくという事は初めての体験のように思います。
八時頃に目覚めたわたしは、シゲルさんが絵を描く姿を眺めながら朝食の準備に取りかかりました。
フレンチトーストがフライパンの上で焼けていく音とほのかな甘い香りを感じながら、わたしは思います。
少し寂しいような…それでも幸せに。
ああ、これは永遠の片想いになるかもしれないなぁ
…なんて。