それは美しい花を見つけた時の、あの高揚感と似ていました。
はじめてお手紙をいただいた日から数年。
わたし達はやっと二人で会う機会を持つ事が出来たのです。
お会いする何日も前からシゲルさんに「どうしよう!どうしよう!!」と、
わたしは緊張と興奮を隠しきれずにいました。
当日、待ち合わせ場所の駅で改札から出て来たasamiさんを見つけた時、
「ああ…綺麗な人だなぁ」と胸がきゅうっとしていく感覚を覚えます。
服を自然にまとい、その表情や動きからはしなやかさが満ちあふれていました。
挨拶を交わした後に駅の階段を上がって地上に出ると、そこにはまっすぐになるような青空が。
空気は澄んでいて、寒さは快い刺激で身体に伝わってきます。
あんなにもあんなにもわたしの胸はどきどきと緊張していたのに、
asamiさんとお話しをしていく内に、それはほろほろとときほぐされた気持ちに変わっていました。
そう。美しい姿の奥にすうっとにじみ出てくるasamiさんのユーモアが、わたしをそうさせてくれたのです。
今日、はじめて持つ事の出来た二人の時間。
asamiさんが案内して下さったカフェを二軒巡り、
日が暮れる頃までわたし達は尽きない話に夢中になっていました。
あのふんわりともれる何気ない甘い声は、今でも耳を優しく撫でるように残ります。
ふと小津の映画に登場する可憐でしとやかな女性達を思い出すような…
asamiさんは凛と美しい人でした。
それでは、また手紙を書きます。