昨夜、仕事終わりのシゲルさんと夜行バスで東京へ。
今年、シゲルさんは五度目の、わたしは三度目の上京となる。
なんだかもう行きつけのような心持ちになる喫茶店で朝食をとり(実際には二度目なのだが)、そのまま東京コンテンポラリーアートフェア2009が開催される東京美術倶楽部へと搬入に向かった。
会場の最寄り駅である御成門を地上へ上がると、見事な青空と東京タワー。会場の場所を全く把握出来ていなかったわたしは、なんだか得をした気分になる。
ニュートロンのスタッフの方々とシゲルさんの手際のよい作業で搬入はとてもスムーズに終了し、内覧会としてオープンとなる夕方までシゲルさんとふたりで東京タワーへ観光に行く事にした。
たおやかな修学旅行生の風景と、時間がゆっくりと動いているタワー内の商店。ここは東京なんだけど、東京ではない感じ。なんとなく遊園地で遊び疲れてベンチに座っている時のあの感じと似ているな…と、つないだ手をぶらぶらとさせながら思う。それでも上手く遊べないわたし達は時間を持て余し、結局は印刷屋へ行ってシゲルさんの作品資料を作り内覧会までの時間を過ごした。
内覧会ではゆっくりと会場をまわり、わたしは一足先に失礼する。シゲルさんはアートフェアへの出展は今回が初めてなのだが、とても素晴らしい機会をいただけたのだと改めて感じた。個展ともグループ展とも違う、圧倒的な来場者数。そこで得る事の出来る様々な出会いや対話は、やはりシゲルさんにとって財産になると思う。そして、作品が売れる事で、また次へのステップアップへと繋がっていくのだ。
ひとりで駅へと向かう途中、夜の東京タワーを眺めながら、わたしはシゲルさんにとってよきものになりたいなぁと思った。
それを具体的に言葉にするとなんだか綺麗事のようで嘘っぽくなるが、とにかくよきものになりたいなぁと思った。
内覧会も終え、同じく今回ニュートロンから出展されていた大槻香奈さんとスタッフの皆さんで晩ごはんを済ませてホテルに帰って来たシゲルさんは、携帯電話のカメラで撮った写真を嬉しそうにわたしに見せてくれる。
「ほら、東京タワーのライトアップ。ミナコ見たかな…と思って」。