出かけたはずなのにどこか早足で、なんだか言葉が足りない。
わたし達はいつでもすぐにうちに帰りたくなってしまうからだろう。
うちに帰っても言葉は足りぬままだが、それでも目には見えないものが随分と助けてくれている。
唯一歩いている間も話しをしてくれるシゲルさんの左手を、わたしの右手で確認しながら、今日も川沿いを歩く。うちへ帰ろうか、と。