映画『JELLYFISH』(2007年、イスラエル=フランス、監督:エトガー・ケレット、シーラ・ゲフェン、2007年カンヌ国際映画祭カメラ・ドール)
ケンカをした翌日、シゲルさんがDVDをレンタルして来た。
ラインベックのアップステイト・フィルムスで、ふたりで初めて観た映画だった。
ヘブライ語(?)に英語の字幕、ストーリーなどよくわからずに、それでも感じる事の出来た映画。
初めて日本語字幕のついた本編で観返してみると、あの時に感じた気持ちと全くぶれずに、わたしはぽろぽろと泣いた。
絶妙な間を持って、誰しもが感じた事のある切なさや優しさを描き出す。
古びたアパートの湿度ややわらかに吹く潮風をも、自分の身体で感じられそうになるのだ。
映画の主人公でさえもなにがなんだかわからないのだが、最後にはあたたかな気持ちになれてしまう魔法のような映画。
それと同時に込み上げてくる、この映画を初めて観た時の情景。
シアターを出ると、夕暮れにラインベックの街が輝いていた。
「ケンカをしたら、また何度でも観よう」。
まだまだ脆さがあり余るわたし達はそれでもきっと大丈夫なんだろう、と。