「これ、西川さんに」と、素敵なケーキを持たせてもらった。
以前友人から頼まれていた写真を自宅まで届けに行って来たのだった。
晩ごはんの後にシゲルさんが美味しそうにいただいたケーキを頬張るのを眺めながら、友人宅でもケーキをごちそうになったくせしてわたしは横取りのタイミングを見計らって今日の出来事を話す。
その友人とは長い付き合いになるのだけれど、今日はじめて友人の恋人にも会った。
「なんかね、自分が好きな人の愛する人にはじめて会うのって、こしょばいんだけど、冷え性のつま先がどんどん汗ばんでく感じ」。
見事ケーキの横取りに成功したわたしはほくほくと話し、最後に小さくなったケーキをシゲルさんと半分こにして完食した。
写真は喜んでもらえ、いつかみどりんごちゃんが言ってくれたように、“誰かの家に窓をつくる”という仕事をもっと出来るようになればいいなと思ったのだった。