仕事がうまくいかずに、悔しい気持ちでバスに揺られ、電車にも揺られて、帰宅した。
往復で六時間程の移動距離だった。
そして写真展『家族』も終わり、搬出には立ち会えず、申し訳なさと感謝の気持ちとが、なんだか疲れた身体にどっときた。
自分に向いていることと向いていないこと…
そんなバランスの悪い気持ちのままアトリエを覗いてみると、シゲルさんはただそこで修行僧のように寡黙な制作を続けている。
わたしは声をかけずに、黙って居間にカメラを取りに戻った。