バリーちゃんにはじめて会ったのは、確か、十九か二十歳の頃。
当時のわたしはまだ犬が苦手で、大型犬のバリーちゃんには少しどぎまぎしていたように思う。
それでもバリーちゃんはとても賢く穏やかで、わたしの苦手意識をかき消していった。はじめての犬だった。
気がつくといつもおさやんの横に静かに寄り添っては、わたし達がおやつを頬張りながらお喋りするのをじっと見ている…
何度会ったかは覚えていないけれど、いつ会っても、どのタイミングに見ても、いついつでもかわいかった。
そんなバリーちゃんは三月に亡くなった。
十五歳だった。
家族がみんな家に揃っている時に、安らかに逝ったそうだ。
みんなに可愛がられて幸せなコだったと、おさやんは言っていた。
こんなことをわたしが書くのはどうかと思ったけれど、でも、書いておきたいと思った。
それから半年が経って、おさやんの家に新しい家族がやって来た。
もう犬を飼うことはないかもしれないと話していたけれど、また犬がやって来ることになった経緯をわたしは知っている。
わたしはいてもたってもいられずに、一目散に会いにいった。
そこには大型犬のバリーちゃんに似た、小型犬のウィスカがいた。
まだまだ赤ん坊で、無邪気で、跳ねるように部屋中を歩いていた。
あんまりにもいとおしいので、それからまたすぐに会いに行った。
ウィスカは少し冷たくなり始めた秋風を感じながら、いつでも新しい世界にいた。
そう。いつかわたしも犬と共に暮らしたい…
ウィスカを膝の上で眠らせながら、わたしは何度となく思う。