ふたりで楽しみにしていた、森太三さんの個展『空を眺める』(GALLERY wks.)へ行ってきました。
わたしが森さんの作品とはじめて出会ったのは五年程前、やはりGALLERY wks.での個展『Sky mountains』でした。
たまたま手に入れた個展のフライヤーに一目惚れをし、どんな作品かとどきどきしながらギャラリーまで行った記憶、会場に入ってすぐに世界が変わってしまった感動を今でもはっきりと思い出すことが出来ます。
それから幾年かが経ち、実際に森さんご本人にもお会いすることが出来て、作品を拝見する機会も増えていきました。
いつ、いつ拝見しても、空気を変えてしまう空間づくりに、わたしは何度でも自分を削ぎ落とし、新しいものとして作品の中に立っていられる喜びを感じられます。
今回の個展も会場全てを使用した、見事なインスタレーション作品でした。
無数の小さな白い球体が連結し、絡み合い、ギャラリー空間の中空に張り巡らされ、自分がどこへやって来たのかわからなくさせてしまいます。
光量は使用せず、僅かに差し込んだ自然光が空間にどこまでも拡がりを見せていました。
いい作品を前にすると、またそれを誰かと共有していると、自然と言葉はなくなっていくように思います。
わたし達はふたりでその空間の中に座り、ただじっと空を眺め、限りない世界と限りある自分達を感じていました。
ギャラリーに在廊されていた森さんも加わって、作品の中でなんとも贅沢な時間。
旅に出かけたかのような…どこかの果てに辿り着いてしまったかのような…かけがえのないものをふたりで持ち帰った、そんな展覧会でした。