朝方まで起きて作業をしていると、寝室で眠っているシゲルさんが「雪降ってるよ、雪降ってる」と寝言を言っている。
寝ている時までかわいいなぁと思いながら、カーテンの外をのぞいてみても、ただ真っ暗な風景にぽつりぽつりと街灯りが弱々しく輝いているだけだった。
日中はふたりで大阪のギャラリーを廻って、立ち寄った蕎麦屋で黙々と蕎麦をすすりながら店内に流れるラジオを聞く。
時折、同じ場所で「ふふっ」と笑っては、少し鼻をすする。
外は、冷たい雨降り。とても静か。
帰宅して、わたしが晩ごはんの支度をしている間、シゲルさんはこつこつと調子がよさそうにアトリエで制作している。
食後には友人から届いた、たねやの季節菓子「栗子みち」をふたりで食べた。
とけるように栗餡が口の中に広がって、シゲルさんもわたしも自然に顔がほころんでいく。
今夜も、外は静か。
わたし達の冬は、驚くほど静かに始まっていく。



【朝ごはん】
・雑炊(昨晩の残りのお汁で)
・出し巻き玉子
・柿



【晩ごはん】
・ポークカレーライス
・貝割れとカニかまの春雨サラダ
・ツナと人参のビネガーサラダ
・ハニートマト