(写真はこの日とは関係ないけれど、自分の写真の中での「white ground」を追ってみた。見たままだけれど、この頃の写真にはありえないくらいの強い念がこもっていたなぁ…と)
昼頃に家を出て、『white ground 〜入谷葉子・中比良真子・西川茂展〜』(JR大阪三越伊勢丹6階=アート解放区)。
入谷さんと中比良さん、共に好きな作家さんなので、シゲルさんにこのお話がきた時は、どこか小躍りでもしたい心持ちでした。
そして。展覧会は、とてもよかった。
入谷さんの大作ははじめて拝見したのだけれど、これがもう圧巻。
一本一本色鉛筆で塗り込まれた画面が、まるで刺繍のようでした。
それはお母さんが作ってくれた幼稚園バックみたいな…ばあちゃんが縫ってくれた浴衣みたいな…なんだか、そんなあったかいもの。
例え、それが僅かな時間であったとしても、少しのささやかな幸せがあった家で育った人には、きっと誰にでも「永遠のホームシック」は宿っているものではないかなぁ…と、入谷さんの絵を前にしみじみと思った。
中比良さんが出品されていた白い絵のシリーズは、周辺の情報が削ぎ落とされて、対象物がまるでそこに浮遊しているかのように描かれている。
けれど、そこから浮かび上がる背景は限りなく膨大で、この絵を拝見していると、遠い日の楽しかったことや悲しみを抱いていた春の日なんかを思い出す。
わたし達はいつだって自分達の選択で未来を迎えていくけれど、決してその行き先は確実には定まらない。
どうしようもなく悲しいもの、なんでもないものだけどすごく大切なもの…中比良さんの絵には、そうしたものが計り知れないくらい詰まっているように感じてしまいます。
わたしは会場を見渡して、何度でも陶酔するような心持ち。
また、展示されたシゲルさんの絵を観ていると、「ああ、この人は絶対にわたしのものにはならんのだろうなぁ…」と、どこかしゅんっとした想いと晴れやかで誇らしい想いを感じる。
なんだかとても満たされた気持ちで会場を後にして、京都、藤井大丸のくちばしニュートロンまで。
シゲルさんが参加させていただいているグループ展『Sakura Calling -日本には桜の咲く春がある-』のトークイベント。
この展覧会は6名の作家が桜をテーマに作品を制作した、春を想い、春を待つ、そんな展覧会です。
(出展作家:西郡友典/写真、酒井龍一/日本画、塩賀史子/油画、西川茂/油画、高橋良/日本画、北川チカ/陶芸)
様々な作品を前に作家の方々の話を聴いていると、改めて…と言うよりも、去年、今年、そして、これからの桜が、日本人にとってどれほど特別で重要であるかということを痛感する。
そして、美術というものが、それを求めている人をどれだけ満たしてくれるかということも。
会場では『お豆』を見てくれているという方との出会いもあり、まだ今年の桜は開花していないけれど、なんだか桜の下に集って来たような…そんな時間だった。
わたし達は、わたし達の未来を、もっとあたためながら、努力していこうと、再び感じられた一日。



【朝ごはん】
・レーズン入り食パンのトースト
・サラダほうれん草とチーズ
・いちご
・かぼちゃのポタージュ
・白鳩舎のビスコッティ
・シゲルさんのドリップコーヒー


【晩ごはん】
・お蕎麦(写真なし)