翌日。
奈須くんも遊びに来てくれる。
冷房もない暑さばかりの部屋に満ちた蚊取り線香のにおい、開け放たれた窓外から聞こえる蝉々の声、古びたこの壁紙の色…
奈須くんが話してくれた、家族のこと。
ここにある夏を身体中に感じながらも、どこか遠い夏にいるようだった。