京都。
幾つかのギャラリーと美術館を巡る。
街には春がやって来ているというのに、わたし達といえば全然うきうきとは出来なくて、なんだかずっと背中を何かに急かされているように思う。
洒落たお昼ごはんも、前日から調べて行くカフェも、実際行ってみると、いつもふたりだと何かが違う。
どこへ行きたいのか…そんなことは互いにわかっているのに、日々を積み重ねても、まじめに真っすぐにいても、時々それは難しい。
乾いた手のひら。フレッドペリーのレザージャケットが軋む音。マスクに覆われた顔からのぞく瞳は笑ってはくれなくて、春はいつも泣きたい。