友人が生後数ヶ月の息子を連れて、我が家まで遊びに来てくれる。
赤ちゃんを連れての長距離移動はとても大変なことと思うのに、彼女は春風をまとったみたいににこにことやって来てくれた。桜の揺れる、穏やかな朝。
ふたりには産後すぐに会いに行ったきりだったけれど、それから赤ちゃんはすくすくと元気に育ち、その愛らしく豊かな表情にぎゅっと閉じた蕾が花開くような心持ちだった。
優しい体温と甘い香り。小さな身体から放たれる限りない希望。まなざしのずっと奥の奥まで力強く恵み深い母親の佇まい。
ふたりは大きな大きな明日を、我が家へも連れて来てくれた。