忠田愛さんの個展『日月』を観に(ギャラリー歩歩琳堂)。神戸まで。
ほんとは合わせて姫路までイリヤ・レーピン展の『巡礼者たち』を観に行く予定だったのだけれど(確か明日が最終日とか)、わたしがご機嫌に朝ごはんをもりもり作ったりしていたので、あっという間に時間は過ぎてしまい、シゲルさんにオンとオフの下手くそさを注意されながらめそめそと外出(姫路は遠かった…)。
けれど、愛さんの個展はとても素晴らしいものだった。
どの作品からも手を動かすセンスというものが光を放っていて、それはきらきらとまぶしい。
また溢れ出てくる自然の凄まじさのようなものに、ぬくぬくと暮らす毎日に叱咤されたような心持ちとなった。
優しく朗らかに笑う愛さんの線の細い細い身体から、いったいこのエネルギーがどのようにしてアウトプットされているのだろう。いや、インプットする力が物凄いのかもしれないな…などと、ぐるぐると考えながら、シゲルさんの「桜を見に行こう」という言葉で夙川まで。
「桜って、毎年毎年写真に撮るけど、ええの一枚も撮れたことない。毎年毎年あるから、また撮ったらええわと思うんやけど、人生で80回くらいしか春は巡って来んねやなぁ…」
「数字にすると悲しいね」
「大人は数えんの好きやしなぁ…」
そんな話しをしながら、まだ冷え込む春の中を、わたし達はちょっとしゅんとしながら歩いて行く。空は灰色。