明け方。強い揺れで目が覚めた。久しぶりの大きな地震
マッチーに電話をし、友人から届いたメールに返信。シゲルさんは寝室にテレビを運んで来て、ふたりで少しの間ベッドの中で地震の速報番組を見る。
今朝の地震が影響していたのか、昼過ぎに出た街は少しだけ寂しい。
ギャラリーへ行って、大きなハンバーガーを頬張って、映画を観て…
ハーブ&ドロシー ふたりからの贈りもの』(2013年/アメリカ/監督:佐々木芽生)。
とにかくよかった。はじまりから涙が止まらなくて、最後にはうぉんうぉんと泣いた。
ああ…こうやってアーティストや作品を見捨てない人達がいるのだなぁ…と思ったら、なんだかよくわからないが泣けてきて仕方がなかった。
ふたりがコレクションした多くの作家の作品をコマ送りで観ていく場面があるのだけれど、それはまるでハーブとドロシーが愛した子供達の家族写真を一枚一枚見せられているようで、あたたかく、ほの悲しくて、どんどんと胸がしめつけられていく。
現代アートという、おまけにミニマルでコンセプチュアルな作品ばかりが登場し、頭が痛くて息が詰まりそうにならなくもないのに、どうしてこんなにも愛が溢れる映像に仕上がってしまうのだろう。
きっとそれはハーブとドロシーが持つ小さな、けれども大きな魔法に沢山の人がかかってしまい、更にそれをもっと世界中の人へ伝えたいとカメラを回した監督のふたりへのまなざしがつくり出した、優しい優しい世界だからなのかもしれない。
もし。またいつかわたしも作品をつくることがあるのなら、悲しいことから目を背けない、それでも純粋に健康で幸せなものをつくりたいと思った。
手を繋いで家へと帰る、なんでもないこのあたたかな想いのように。