「ぼく」は作文の中で、殴られていた。「だけど、ぼくには夢があります」。眠れないまま仕事へ向かって、だけどそんな事はどうだってよかった。知らない街を歩いて行く。廃校の校舎。ブランコに揺れる少女。そんなに無防備に話しかけてくると、危ないよ。町工場からは何かの機械音。冬場でガラス戸は全て閉ざされていた。巨大な工場が見えてくる。並んで歩く、ばあちゃんと孫の背丈が同じだ。太陽を見たら、くしゃみが止めどなく出た。夕暮れ時の列車の中に、もう学生たちの姿がない。冬休みか。耳の中で博多男が歌ってる。街の中へ きえてゆく。ちょっとだけ、思い出してみた。今もまだ、きらきら光ってる。美しいな、やっぱり。四丁目を抜けて、「こんにちは」「こんにちは」。帰って来て外したマフラーが、もう自分のにおいになっている。昨日、何千マイルも離れたところから届いたマフラー。手紙の中には「しつこいくらいに、メリークリスマス」。ちゃんと、横でも言ってね。来年はケーキを焼くから。香水をつけるのは、もうやめよう。明日、花屋を見かけたら花を買おう。