朝ごはんとお洗濯物の後になんだか体調が優れずに、ずるずるとベッドの中に潜り込んで休ませてもらう事にしました。
シゲルさんは制作の合間を見て、お昼ごはんと晩ごはんの用意のため、テキパキとお台所に立ってくれています。
優しい声がして起き上がっていくと、お昼ごはんの食卓には雑炊が、晩ごはんの食卓にはサラダうどんが並んでいました。
食べやすくて、美味しくて、わたしは鼻をすすりながら、黙って食べられるだけの分量を、きちんと噛んで食べました。
「美味しい」とかすれそうな声で言うと、シゲルさんは「ありがとう」と静かに返事をしてくれます。
大切な人が作ってくれるごはんは、どうしてこんなにも美味しいのだろうか。


《お誕生日にいただいたもの》



中学の頃の同級生から届いたのは、わたしの好みを隅々まで知り尽くした、京都の美味しいものが沢山詰まった紙袋でした。
これらを袋に詰めるために、いったいどのくらいのお店を廻ってくれたのだろう…
これまでずっと本をプレゼントしてもらう事が多かったのですが、食べ物をプレゼントしてもらうのは案外ありませんでした。
「人にあげるものは、消えものがいいからね」
そう書かれていた、川上弘美さんの『月世界』という短な小説を途端に思い出します。
「ありがとう」を、いつこの声で伝えられるのだろう。