今日がシゲルさんの個展の初日とオープニングパーティーなので、シゲルさんは朝からギャラリーへ向かい、わたしはパーティーまでの時間出かけることにする。
東京ミッドタウン、21_21DESIGN SIGHTで楽しみにしていた『テマヒマ展〈東北の食と住〉』。
展示会場に入ると、すぐに映像作品を観ることになるのだけれど、正直「いきなり映像なんだ…」と少しはばかった気持ちになってしまった。
それなのに、三十分経つ頃には感極まっている。
映像には東北の民芸や工芸品、銘菓などをつくり出す、じいちゃんやばあちゃんの手仕事が映し出され、それらのインサートカットには寡黙で厳しい東北の風景が切り取られていく。
驚くくらいに映像が身体に響いて、ここに後三十分でも一時間でも座っていたい…そう思わせた。
実際の民芸や工芸品、銘菓などを展示した部屋では、インスタレーションのような楽しさと、まるでそれらの図鑑を手にとるようなときめきがあって、何度も何度も夢中になって観た。
こんな展覧会を待っていたんだと、じわじわと強く強く実感する。
胸がどきどきとしたまま会場を出て、このことを伝えたい人達の顔を思い浮かべていた。
夕方までぐるぐると東京の街を歩いて、18時からneutron tokyoの1、2階で展示しているシゲルさんと、3階で展示しているアン・タランティーノさんのオープニングパーティー
ゴールデンウィークということもあって、誰が来て下さるのだろうかと心配していたけれど、とても盛況で楽しい夜になった。
搬入の時には観ないようにしていたアンさんの作品もゆっくりと拝見することが出来て、その上品に流れていく線や色に心地よい気持ちになる。
なんだか紙の上でエクササイズしているみたいだ。
そして。いつもオープニングに足を運んでくれる友人やシゲルさんの後輩に、ありったけの嬉しい気持ち(届けっ)。
パーティーも終えて、夜深く、アンさんを囲んでの完全イングリッシュディナー。
アンさんは明朝には、もうアメリカへ帰るのだそう。
穏やかで、かけがえのない食事。
トリッパの煮込みは、口の中でほろほろこりこりしていた。