シゲルさんとふたりで、稲富淳輔さんの個展『やわらかく さみしく 月はゆく』(ギャラリー歩歩琳堂/神戸・元町)へ。
太陽が昇る前の淡い灰色と青の世界をまとったようなドローイング。組み立てられた意識をするりと通り抜けていくような、白く美しい陶器。
異なる二つがとけ合って、その展示は何処かの窓辺を想わせた。終わっていく夜と始まっていく朝を知る。とても静かな世界。
枕に耳を押しあてて聞く鼓動だったり、「あれ…さっきは彼処にあった月が、もうあんな処にある」なんて眠れない夜に見上げた空であったり、トルン・エリクセンの『About Presence』を聴きたくなる夜更けだったり…
人が静かな中で感じられるものの広がりって、いつもよりずっとぐっと広範囲なもののように思う。普段は、ちょっと忘れているようなことまで。
そんなことを、今回の稲富くんの展示を拝見して思った。
在廊されていた稲富くんご本人ともお話しが出来て、わたし達はたちまちに笑顔。
会場を後にし、雨降る神戸をふたりして元気よく歩いた。
居留地から大っきな好日山荘までのアウトドアショップを練歩き、ビショ濡れへっちゃらなハードシェル探し(今後必要なもの)。ふたりとも試着に興奮し過ぎて、まだ何も買ってはいないのに物凄い満足感(…店員さん、ごめんなさい)。タワーレコードでCDを二枚買って、瞬間移動という名の列車に乗って帰宅。
雨、上がる。