眠たい目を強くつむったり大きく開いたりしながら、まだ太陽が昇る前の台所で、ただ黙々とシゲルさんに弁当をつくる。
自分が手を動かす音と換気扇が回る音。外はまるで音がないみたいな世界。
窓の外がぼんやりと明るくなれば、鳥達が声を出し始める。
弁当を拵える途中で朝ごはんの用意をして、寝室にシゲルさんを起こしに行く。
言葉のような…ただの声のような…そんなものを言いながらシゲルさんが目を覚ますと、その瞬間に「ああ、幸せだなぁ」と思う。
来る日も来る日も。
一日が、始る。