晴れ渡った空の下。今日は、満江先生ご一家とアムステルダムの街まで出かけることにしました。
みんなで電車に揺られていたら、ふと遠い日にたった一度だけ出かけた家族旅行のことを思い出して、なんだか懐かしいような…恋しくなってしまうような…
列車に乗って一時間程で、アムステルダム中央駅(Station Amsterdam Centraal)に到着。
さすがオランダの中心部。昨日のデルフトとは、また行き交う人の数が違うなぁ。
立派な造りの駅舎から出ると、更に人の流れは増えて、わたしは大都会にそわそわとしながらも、前を行く満江先生達の姿がどこまでも頼もしく思えました。
列車からトラムに乗り換えて、まずはアムステルダム国立美術館(Rijksmuseum Amsterdam)へ。
多くの観光客や地元の人達で御堂筋線のように混み合ったトラムは(表現が乏しくて、すみません…)、大きな顔をして縦横無尽にアムステルダムの街を走って行く。

アムステルダム国立美術館(Rijksmuseum Amsterdam)。








館内へ入ると多くの観光客でにぎわっていて、入口のホールは外観の壮麗さとはまた違ったシックで近代的な雰囲気。
なんでも昨年まで十年以上もかけて改修工事が行なわれていたんだとか。
じっくり観ていると一日あっても足りない館内を駆け足に回ったのだけれど、手元に残った写真を見ていたら、この美術館に宿った高潔な空気が少しだけ自分にも舞い降りたような…そんな気がした(…なんてね)。
詳しいことはあまりわからないけれど、こんなふうにして日本にも若冲北斎などの圧巻のコレクションを誇る美術館があればどんなに素敵だろう…
レンブラントフェルメールの作品を夢中になって鑑賞する世界中の人達を前にして、そんなふうに思った。
帰りに。クローク受付の素敵眼鏡青年に日本語で話しかけてもらい、だらしなくにやついていると、シゲルさんにつっこまれた。。。
細身の眼鏡男子に弱いというのは、どうやらワールドワイドなのだな。………??
(はて。オランダにもアジア人の観光客が多い中、みんなどんなふうにして日本人って見分けてるんかしら。)



アムステルダム国立美術館の周りには、大きな芝生広場を挟んで、ステデリックミュージアムゴッホ美術館などがあります。
まるで上野のようですな。



午後から。奥さまと娘さんは市内に住むご友人のお宅へ、わたし達は満江先生にギャラリーを案内してもらうことになりました。
その前にFEBOというファストフード店で食べた、クロケットバーガー。
クロケットは牛肉のクリームコロッケ)



この写真は別のお店で撮ったものだけれど、FEBOも自動販売式(半手動かな?)のファストフード店です。
もちろん他のファストフード店のようにお店の人に注文することも出来るけれど、こうした愉しさに旅情気分が上がってしまう。
もうそこまでヤングなわけではないのだけれど。。。





活気のある街を縫うようにして歩き、幾つもの運河を越えて、ギャラリーを巡る。
オランダで画家として活躍している満江先生に、こんなふうにしてギャラリーを案内してもらえるだなんて、わたし達はなんて贅沢なんだろうか。
都会に似合うよう涼しく装った(つもりの)顔が、あっさりと興奮に綻びて、口はいつでも半開き。毛穴から出てくる熱も、決して嘘をつけない。
日本ではどことなく小っ恥ずかしくなってしまうオープンテラスのカフェも、なんて居心地いいんやろかー。






先程のクロケットバーガーもすっかり消化され(おそらくね…)、再びお腹の住人が騒ぎ始めた頃、満江先生がおすすめのお店へと連れて行ってくれた。
観光客の人はなかなか足を延ばさない(たぶん)、移民の人々が多く暮らす地域。その一角にある、トルコのパンやお惣菜を販売しているお店。
そこで食べたトルキーピッツア!!!
薄く焼かれたパリパリの生地にケバブと野菜がてんこ盛りに巻かれていて、程よくスパイシーで、とってもジューシーで、思い出しただけで…もう。。。ああ…。
(その美味しさに心奪われたわたし達は、帰国する前にもう一度このお店へとやって来ることになる。)





お腹も気持ちもころっと満たされて、中央駅まで歩いて戻り、駅の北側から発着している無料のフェリーに乗って対岸にあるギャラリーまで。
駅に戻るまでの道すがら、窓辺に立った下着姿の女性に「はっ!着替え中の人を見てしもた…」と焦ったわたし達。。。
これが飾り窓の地区なんやな。
(上の写真は、別の場所のもの)





アムステルダムの対岸には、新しく綺麗な街並が広がっていて、ここに満江先生のギャラリーがあります。
この時に展示していたのは、ロンドン出身の女性アーティストの絵画。日本ではなかなか観ることの出来ない作品に興奮して、わたしはとにかく落ち着きがない。
とても開放的で素敵な空間に、満江先生の作品も並ぶんだと思ったらうっとりしてしまって、なんと言ったらいいのかわからない幸福な気持ちに包まれた。
きっと。シゲルさんは、わたしよりも強く、もっとずっと静かな興奮を覚えていたのだと思う。
わたし達のオランダは、満江先生のお家とスタジオ、そして、このギャラリー…それだけで、もう充分だったのかもしれない。



また中央駅へと戻るフェリーで、寒さに鼻を垂らしながらも「写真が撮りたい」とデッキに向かったわたしに、シゲルさんは渋々と付き合ってくれる。
ちょうど、運河の中にしっとりとした夕陽が沈んでいく頃だった。
ここには満江先生達以外に知っている人はいないけれど、それでも、フェリーの上から眺めたアムステルダムの街並に、人々の営みを感じて驚くほど穏やかな気分となった。
中央駅にて。前から、奥さまと娘さんがやって来る。再び、どっとした安心感に包まれる。
不思議な不思議な、旅だ。