昨年。

夫婦ともども尊敬している作家さんが参加されているグループ展へ。
細部にまで注意を払って描かれたモノクロームの作品には、圧倒的な静寂が張り詰めているのに、いつもどこかにざわつきを感じる。
仕事にかけられた時間よりも際立つ、作品そのものの迫力。
また驚くほどに滑らかなモノクロームの色調には、暗室でプリント作業をしていた時のような興奮が蘇る。
描き切るところと描かないところとのバランスが絶妙でありながらも、それらはあまり重要ではないのだということ。それは、無意識と意識とがリンクしていることと同じなのかもしれない。
毎日毎日、何年も描いていくということ。
わたしは自分が何者であるかもわからないけれど、いや…何者でもないのだけれど、そういった真摯な作品を大切に観続けていきたいと感じた。
三人展である今回の展覧会は、どの方も堅実な仕事をされていて、贅沢で見応えのある展示(ちょっと偉そう…)。
ギャラリーを出てから真っ直ぐに南下して、いつもの画材屋まで歩いて行くことにする。
途中、素敵なカフェで休憩しようと提案するものの「ミナちゃん、ほらメニュー見て」と表に出ていた看板を指差され、「ね。オシャレ価格付いてるでしょ?」と言われ、却下。
次にチェーン店のコーヒーショップを見つけたら入ろうね…とか言いながら、結局どこへも寄らずに画材屋へ辿り着いた。
シゲルさん、画材屋に入ったら長いからな…。はぁ。
ギャラリーを廻り、画材屋へ寄って、15キロほど歩いて帰宅。
今日、あるギャラリーで気になった作品があって、壁に貼られていた作家の略歴を見てみたら「90年代生まれ」の文字。なんだかわからないけれど、漠然と「そうか…」と思った。
わたしは今いったい何を積み重ねて生きているのだろうな。